2020年 03月 31日
ファントム・スレッド ー お気に入りの映画 |
コロナウイルスの猛威の中、出来る限りお家で過ごすことを余儀なくされている日々、いかがお過ごしでしょうか?
喜べるお休みではないので、どうしても気持が塞いでしまう毎日ですが、そんな中、映画はしばし現実を忘れさせてくれますよね。私も毎晩、映画三昧(と言ってもwow wowですが)。そんな中、最近見た映画で、とても気に入ってしまった映画をご紹介させてください。たぶんハマるかハマらないか、好みがはっきり別れる映画だと思う一本です。
それは名優ダニエル・デイ=ルイスの最後の映画とされる「ファントム・スレッド」。何でもこの映画の最中に、引退を決意したと言われています。オートクチュールという舞台に展開される危うい恋の駆け引きが描かれた、一風変わった恋愛映画ではあるのですが、その中には、単なるラブロマンスではなく、ホラーな要素もありコミカルでもあり、様々な映画の魅力的な要素が、いっぱい詰まっていて一言では言い表せないのです。まず魅了されるのが、素晴らしいカメラワーク。どの画面も絵的に美しくて引き込まれます。この映画のデイ=ルイスは、本当に身のこなしが品良く、とても素敵で、ずっと見ていたいと思ってしまいます。デザインされた女性達のドレスはもちろんですが、彼の衣装も素敵でした。
そして、繰り返し見たくなる心地よい映像にピッタリな音楽の素晴らしいこと。
今回も徹底した役づくりで有名なデイ=ルイスは、約1年間洋裁の修行をし、パレンシアガのスーツを複製出来る程の腕前に成長し、妻に自作のドレスをプレゼントしたとか。いつもながら頭が下がる徹底した役づくり。ドレスづくりに神経をすり減らす苦悩や美しい所作の1つ1つ。。主人公の才能や立場等にはほど遠い自分なのに、何故か二人の立場からくる気持に寄り添って、とても共感してしまうので不思議です。オートクチュールという夢のようなゴージャスな世界の中で繰り広げられる、デザイナーとミューズの危うい世界。ちなみにモデルとされるクリストル・バレンシアガも、とてもハンサムな方だったようです。
映画では、絶対的な才能と立場で、常に上から目線の完璧主義者が、やがて見初めたミューズに彼の世界を崩されていくのですが、彼女によって崩されたいと心のどこかで望んでいるようにも感じました。演ずる完璧主義者、デイ=ルイスはもちろんですが、この映画を監督されたポール・トーマス・アンダーソンの完璧主義がなせる技、の映画です。大抜擢でミューズを演じた新鋭女優、ビッキークリープス、まさにこの映画の役どころとかぶるようなヒロインですが、彼女もまた何カ国語も操る才女でもあるようです。 デイ=ルイスは、この映画の最中に、深い悲しみに襲われ、引退を決意したと言われています。彼自身、その理由は何故だかわからないとされていて、そんな謎めいた彼の言葉を映画から推測してみるのも面白いかも知れません。
機会がありましたら、圧倒的な映像美と最後のデイ=ルイスの演技に、酔いしれて下さい。
by ggallery
| 2020-03-31 13:57
| my life
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